▼内容
中編(短編と長編の間)3本からなる中編集。どの話にも超能力を持った女性が登場する。
鳩笛草・・・「刑事になれたのは能力のおかげ」という貴子。最近、能力の衰えを感じ、仕事を続けていくことに不安を感じている。そんなとき、露出魔事件と不可解な誘拐事件が発生して・・・。
燔祭・・・高校生の妹を殺害された一樹のもとに、「妹さんのために私を使って」という女性(淳子)が現れた。自らを「装填された銃」という彼女は、自分の能力なら復讐の手助けができると言う。
朽ちゆくまで・・・祖母が亡くなり、智子は2人で暮らしていた家を売りに出すことに。そのための整理中に階段の下の物置から1つの箱が。その中には失った幼いころの自分が隠されていた。それが両親の死にも関係している気がして・・・。
▼感想
超能力系は登場する能力者たちは、3者3様に自分の能力に苦しむ。
「朽ちゆくまで」は、智子が失った過去を探っていく展開に、グッと心をつかまれた。始めは能力が隠されているのでそれを予想しながら読んでいくおもしろさがある。ドラえもんが出てきたときの「まさか!まさか!」という感じは楽しくて忘れられなくなるだろう。
「燔祭」は、淳子の迷いや葛藤の深さが感じられた分、それらから解き放たれて、吹っ切れた感じが心地よかった。そもそもが好きな設定だったこともあり楽しんで読めた。「クロスファイア」という長編につながっているという噂もあるので、そちらも楽しみだ。
「鳩笛草」は、「能力の衰え」というキーフレーズがグサリときて、その分楽しみが半減した気がする。誘拐事件の顛末は、利発な子供が出てくる話が好きなのでかなり楽しめた。
▼とりあえずここを読めばイメージわかる
27ページと28ページ
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