2011/07/22

鳩笛草 燔祭/朽ちゆくまで 読了


▼内容
中編(短編と長編の間)3本からなる中編集。どの話にも超能力を持った女性が登場する。
鳩笛草・・・「刑事になれたのは能力のおかげ」という貴子。最近、能力の衰えを感じ、仕事を続けていくことに不安を感じている。そんなとき、露出魔事件と不可解な誘拐事件が発生して・・・。
燔祭・・・高校生の妹を殺害された一樹のもとに、「妹さんのために私を使って」という女性(淳子)が現れた。自らを「装填された銃」という彼女は、自分の能力なら復讐の手助けができると言う。
朽ちゆくまで・・・祖母が亡くなり、智子は2人で暮らしていた家を売りに出すことに。そのための整理中に階段の下の物置から1つの箱が。その中には失った幼いころの自分が隠されていた。それが両親の死にも関係している気がして・・・。

▼感想
超能力系は登場する能力者たちは、3者3様に自分の能力に苦しむ。
「朽ちゆくまで」は、智子が失った過去を探っていく展開に、グッと心をつかまれた。始めは能力が隠されているのでそれを予想しながら読んでいくおもしろさがある。ドラえもんが出てきたときの「まさか!まさか!」という感じは楽しくて忘れられなくなるだろう。
「燔祭」は、淳子の迷いや葛藤の深さが感じられた分、それらから解き放たれて、吹っ切れた感じが心地よかった。そもそもが好きな設定だったこともあり楽しんで読めた。「クロスファイア」という長編につながっているという噂もあるので、そちらも楽しみだ。
「鳩笛草」は、「能力の衰え」というキーフレーズがグサリときて、その分楽しみが半減した気がする。誘拐事件の顛末は、利発な子供が出てくる話が好きなのでかなり楽しめた。

▼とりあえずここを読めばイメージわかる
27ページと28ページ

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2011/07/06

堪忍箱 読了



▼内容
時代小説8編からなる短編集。
・堪忍箱
 近江屋に代々受け継がれる堪忍箱、開けると災いが降りかかるという・・・
・かどわかし
 「おいらをかどわかしちゃくれないかい」と頼む少年・・・
・敵持ち
 頼りになるのかわからぬ用心棒を雇ったが・・・
・十六夜髑髏
 十六夜の月の光が屋敷に入ったら旦那が死ぬ・・・
・お墓の下まで
 市兵衛、お滝、3人の養子たち。それぞれ打ち分けられない秘密があって・・・
・謀りごと
 差配が変死。集まった店子たちの話から、差配の様々な顔がわかってきて・・・
・てんびんばかり
 姉妹のように暮らしていたお吉とお美代。だが、お美代だけが玉の輿に乗ってしまって・・・
・砂村新田
 父が病に倒れ、お春は奉公に出ることに。そこで、知らなかった母の顔を垣間見た気がして・・・

▼感想
江戸の人々の生活の一部を、変な脚色をせずにそのまま見せてくれる。人々が生き生きと動き、終わりのページが来るとスッと抜けていく。大きなオチがつくものは少ないが、生活というものはそういうものかもしれない。その後の生活を想像せずにはいられないので、それを楽しめる人にはオススメできる。

▼とりあえずここまで読んだら雰囲気がわかる
11ページ

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2011/07/03

ではまた明日 読了


▼内容
癌と戦い18歳で亡くなった男性の日記。宣告されてからの11か月間が綴られている。科学者になる夢のため、一浪での大学進学を目指し受験勉強を続ける。家族・友人・医者とのやりとり、複視、麻痺、などの闘病生活が記されている。タイトルは毎回の日記の最後に書かれる言葉。

▼感想
闘病のリアルをかいま見た気がする。「死ぬかもしれない」とどう向き合うか、それとも向き合わないか。最後の方で毎回のように日記に見られた、「家族のみんなありがとう」、「今日も癌に負けなかった」、という言葉が印象に残った。非常に考えさせられる作品だった。写真の笑顔もとても印象的だった。

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